全国の生産地訪問レポート 日本農業新聞で広告掲載させていただいた全国の生産地を詳しくご紹介します。

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県が独自開発した「伊予美人」。その味は“里芋の王道”!

伊予美人は、愛媛県の試験場でオリジナル開発され、平成18年に商標登録された門外不出、県外不出の新品種です。
里芋は、親芋から子芋、孫芋(さらに曾孫芋まで)が生まれますが、1株の中でいかに孫芋を多く穫れるかが農家の腕の見せどころです。子芋ができる割合を優品率、孫芋ができる割合を秀品率と呼びますが、伊予美人は秀品率が高く、肉質が良く収量も高いのが特徴です。肉質が柔らかく、良く煮えて味がしみ、ねっとりとした食感で、よく煮えるから食べてガリッとすることがありません。形状もきれいに丸いため、皮むきもしやすく、色白で料理映えがすると評判です。
「伊予美人」のネーミングを考えたのは、JAうま・特産部会・部会長の宝利義博さんでした。「伊予美人の味のタイプは、いわば“里芋の王道”です。京都の料亭の方々からも『京都のヤツガシラや海老芋と違って伊予美人は本来の里芋の味がするのですごくええわ』とほめられました」と宝利さんは目を細めます。

作付の発想を逆転。転作作物から主力作物へ!

愛媛県で里芋栽培が始まったのは約400年前。この地は日本三大局地風の1つ「やまじ風」(最大風速40m級)が吹くため、地上に根づく作物がなく、地下茎作物の里芋とやまの芋の栽培が盛んになりました。
水稲の転作作物であることが幸いし、水分を必要とする里芋栽培に最適な水管理が行えます。南面の石鎚山脈からの潤沢な地下水とダムのインフラにも恵まれ、日照り続きでも水が涸れることはないそうです。
連作障害を避けるため、米、麦、野菜などとの3年輪作体制も確立。転作の発想を逆転し、農家さんは里芋を基本に3年、5年後の作付計画を立てながら栽培しています。

里芋の難敵アブラムシをアドマイヤーの粒剤で一掃!

里芋栽培の難敵はアブラムシ、ダニ、ヨトウムシです。「特にアブラムシは、栄養分を作る葉が幼い初期からわいて出るので困る。葉が萎縮したり巻いてしまい、地下の芋が育たなくなるからね」と宝利さんは眉をひそめます。
以前は真夏に1週間から10日ごとにカッパを着て動噴を背負い、里芋の大きな葉をかき分けながらに葉裏にびっしりついた虫の対策をしていたので、10アール程度の作業でも大変だったといいます。
アブラムシ防除にアドマイヤーを使い始めたのは14〜15年前からです。使い方の基本は3月上旬、種芋の定植時に、アドマイヤーの粒剤を土壌にまく一発処理のみです。
「アブラムシはその後は秋の収穫までわきません。うちらの場合、おそらく春先の防除で根絶やしになっているということでしょうね」と宝利さん。「今では栽培中にアブラムシのことは一切考えなくてすみ、農家はみんな助かってます。よく効くんで、今後もずっと使いますよ」。

課題は、マルチ栽培普及と収穫後の作業の機械化!

今後の課題として、労力をさらに軽減する方法を考えておられます。里芋部会の部会長・尾藤秋貞さんは、「今後のテーマは、マルチ栽培のさらなる普及と機械化です」とおっしゃいます。
尾藤さんは「全期マルチ研究会」という組織を立ち上げ、「一発マルチ栽培」の普及に努めています。これは畝立てと定植をする時にマルチを一発で被覆する方法で、条件の悪い土地でも栽培面積を増やして農家の所得を向上させることが目的です。「品質も安定化し、収量や秀品率も年々上がっています」と尾藤さん。
また機械化については、畝立てから定植、マルチの巻き取り、掘り取りまでの作業はすでに機械化され、アドマイヤーもマルチ被覆と同じ機械で同時に粒剤処理できています。しかし収穫後に親芋、子芋、孫芋をバラバラにほぐしてひげ毛をむしる作業などは、芋の肌に傷をつけてはいけないため機械化の目途が立ちません。尾藤さんは「次世代のために何とかしたくてメーカーさんにいろいろ相談しています」とご苦労を語ります。
とはいえ、マルチ栽培、そして栽培期間中の機械化により、かつて1ヘクタール以上の栽培は絶対無理といわれていた里芋も、今では個人で3ヘクタール以上作れるようになりました。
最後に、尾藤さんは「里芋農家は工夫を重ねて作っています。どの産地の芋でもいいけん、いっぱい食べて繊維質を摂って、みなさん健康であってください。いつもそう思って生産してます」と自信たっぷりの笑顔を浮かべました。

  • 里芋専門部会の皆さん。「白くて丸くて大きくて、一度食べたら忘れられん食感じゃけん、全国の皆さん、ぜひ一度ご賞味ください!」

  • 宝利義博さんは「伊予美人」の名付け親だ。JAうまの「特産部会」の部会長のほか、県の「特産部長」と「里芋部長」も兼務中。ご自身で考案した様々な定植方法や施肥方法を工夫して、収益向上を図る地域のお手本となっています。

  • 里芋づくりを極めた達人で知られる西原和正さん。「里芋部会」の役員も務めている。「伊予美人は栽培にあまり手がかからず、農家にとっては作りよい里芋です。アドマイヤーはよく効くけん、里芋のほか米、山の芋、野菜やみかんにも発売時から使っていて、これからも使い続けますよ」

  • 「里芋部会」の部会長の尾藤秋貞さん。「里芋栽培は私の趣味にもなってます」とおっしゃるほど里芋栽培に熱心で、1株から孫芋、曾孫まで含めて53個もの芋を作ったことがあるほどの名人だ。

  • 夏の強い太陽を浴びて、栄養をたっぷり蓄積中の「伊予美人」。

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