全国の生産地訪問レポート 日本農業新聞で広告掲載させていただいた全国の生産地を詳しくご紹介します。

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栄養たっぷりに育て、完熟させてから収穫!

十勝地方の長芋栽培は歴史が長く、幕別町は収穫量、作付面積ともに全国第2位を誇ります。 「幕別町は夏30度、冬マイナス30度と寒暖差が60度もあって、寒暖差が大きいとジャガイモでも美味しく育ちます。長芋もそうだと思います」とおっしゃるのは、JA幕別町の長芋生産者(長芋事業部会の種子委員長)の小尾一彦さんです。 多くの農家が秋に掘り取るタイミングを微妙に遅らせることで、長芋を土中で完熟させ、地上の栄養分が全部新芋に入った状態で収穫しています。「中身が育って味が濃厚になる。粘り気もあって、すり下ろして丼に入れると箸で全部取れるくらいですよ」。

  • 副部会長および長芋種子委員長の小尾一彦さん(54)。
    「毎年いい種子を供給できた時が使命を果たせて一番ほっとする瞬間です。幕別のみんなが潤ってくれればなおうれしい。これはメンバー全員の願いです」。

収量と歩留まりを高めるため、春先にしっかり出芽させる!

長芋栽培で大切な作業の1つが「芽出し」です。よく稲作等で「苗半作」と言いますが長芋の場合は「芽出し半作」と言っても過言ではありません。春の定植前に、種子長芋を出芽させて“種芋”を作りますが、しっかり芽が出た状態で定植するとより変形の少ない均質な青果に育ちます。この時に1年目の若くて良質な種子長芋を使うことがポイントで、病気に強く、収量や歩留まりも高い栽培ができます。
JA幕別町では16年ほど前、管内の長芋の形を規格統一しようと種子栽培の希望者を募り、「長芋種子委員会」を設立。馬鈴薯の種子を作る体系があり、そのノウハウをいかしてスムーズに移行できました。
平成8年から現在の種子作り体制が確立され、今は長芋事業部会の加盟者70戸(青果生産者)に向け、種子専門チーム(長芋種子委員会)10戸が長芋事業部会に供給しています。

ウイルス病の悩みを解決し、安全・安心の作物づくり!

JA幕別町の長芋は無農薬栽培が基本ですが、それは「青果の長芋」の場合です。「種子長芋」はウイルス病の感染を媒介するアブラムシ対策のため害虫防除が欠かせません。
「長芋の大敵、ヤマノイモエソモザイクウイルス病などに感染すると新芋が育たなくなってしまう。これがすごく厄介で悩みのタネでした」と小尾さんは顔をしかめます。
アブラムシの防除にアドマイヤーを使い始めたのが平成20年。
種子委員会のベテラン生産者・林豊仁さんは、「ヤマノイモに登録がある殺虫剤は案外少ないんですよね。アドマイヤーは一番残効が長くて、確実に効いて、シーズンに2回使える。これはいいと実感しました」と語ります。
長芋は連作障害を避けるため4年輪作が基本ですが、ウイルスはアブラムシの媒介によって感染する恐れがあるため、散布は6月から10日間隔で徹底的にローテーション防除を行います。アドマイヤーは8月中旬と9月上旬の最も茎葉が繁茂している時期に使われます。その結果、年3回(7、8、9月)の定期検査でもウイルス株は一切なく、優良種子の生産を徹底できています。

  • ベテラン生産者の林豊仁さん(51)。
    “種芋用”に毎年新しい種子長芋を使ってもらおう、種子更新率8割以上を目標に頑張ろう、と部会のメンバーを牽引しています。

高品質な種子づくりで、これからも幕別町に貢献!

青果の生産者が“種芋用”に新しい種子長芋を使う率を「更新率」と呼びます。「私たちはずっと更新率最低8割を目標に頑張っています。最近は毎年全量を更新している人もかなりいますし、今年は89%を達成しました」と林さんの顔から笑みがこぼれました。
ちなみに最近は、JA幕別町特産の長芋「和稔じょ(わねんじょ)」が贈答用などに大好評です。ひげ根がなく肌がスベスベで見た目もよく、JA幕別町のみが扱っている品種で、味は甘みが強くてクセがなく、料理しやすく、皮ごと食べられます。もちろん遺伝子組み換えなどはしていません。生産量が限られ、冬季限定出荷(収穫状況によっては5月頃にも出荷)しています。
小尾さんは、「長芋にしろ和稔じょにしろ、これからも幕別の種子でいい青果長芋を作ってもらい、幕別の全員がしっかり収益を上げる、その使命感でやっていきます」と力強くおっしゃいました。

  • 長芋事業部会の「種子委員会」の皆さん。「いい種子長芋を供給して良質な長芋栽培に貢献しています。特産品の和稔じょも、ぜひ一度食べてみてください!」。

  • ブームスプレーヤー用の専用通路を空けて定植された種子長芋の圃場。青果の圃場は防除しないため一画にびっしり定植するので、違いは一目瞭然だ。

  • ヤマノイモエソモザイクウイルス病に感染した葉。地下茎に栄養がいかなくなってしまう厄介な病気だ。

  • 副部会長の橋詰仁さん(51)は「青果担当」で、種子長芋には常に眼を光らせている。長芋は一番手間がかかるうえ畑も選ぶ作物ですが、それでも橋詰さんが長芋を中心に営農するエネルギーの源は、「とろろそばが好きだから(笑)」。

  • 堀内直哉さん(33)。「収穫が終わって青果農家さんに種子を配って、おまえさんのとこの種はよく育つねぇ、という声を聞くと最高の気分です。よし、やったぞってね」。

  • 寺林剛志さん(26)。「一番やりがいを感じる時は収穫してコンテナに積む時です。実りを見ると一年の苦労が形になったなと心の底から実感できます」。

  • 種子長芋栽培に一番後から参入した穴吹雅典さん(46)。「みんなと同じ収量や歩留まりでできるかを常に自問自答しています。毎年作物が宿題を突きつけてくるんで、これからもずっと勉強を続けるし、種子長芋とは一生付き合いたいと思います」。

  • 種子長芋のほか種子馬鈴薯も生産している種子名人の黒沼茂樹さん(50)。「アドマイヤーをずっと使っていますが、安全性も高く、どの作物にもよく効いて、ありがたい薬です」。

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