全国の生産地訪問レポート 日本農業新聞で広告掲載させていただいた全国の生産地を詳しくご紹介します。

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多彩な柑橘類を「リレー販売」

JAたまなの開(ひらき)泰二さんは、まず玉名の柑橘類の歴史について、「高度経済成長期の昭和30年代後半から40年代に開墾ブームによって一躍発展しました。現在ではリレー販売をするまで成長しています」と語ります。
「リレー販売」とは、さまざまな種類の柑橘類を長期間ずつ次々と収穫し、年間を通して安定的な販売体制を確保することです。
玉名では、9月~1月に「温州みかん」(約10品種)の極早生、早生、12月~5月に「中晩柑(ちゅうばんかん)」(1月~5月に収穫されるみかんで温州みかん以外の総称)と、露地の温州みかんで9月~翌5月初旬の約8か月間を「リレー販売」し、6月~8月のグリーンみかん(ハウス栽培の温州みかん)も合わせてほぼ周年栽培しています。出荷前には糖度と酸味を光センサーで検査し、どれも高品質な柑橘ばかりです。
主な品種は、9月~10月が温州みかんの極早生で、肥のあかり、トヨフク、肥のあけぼ、これらは県の育成品種です。10月~11月が早生で、興津早生、宮川早生。12月が青島のほか、熊本で育成された白川温州(青島の兄弟品種)があり、ここまでが年内から年明けまでの品種の柱です。
そして、12月から加温の中晩柑・デコポンの出荷が始まり、1月から2月中旬まで屋根かけで栽培し、袋に入れたり地面に冷水を通す冷温栽培をして、時期を遅らせながら4月末まで出荷。最後は河内晩柑(かわちばんかん)という大玉の中晩柑を4月からゴールデンウイークまで出荷します。
さらに6月~9月は温州みかんの「グリーンみかん」を出荷。グリーンみかんとはハウス栽培した青いみかんのことです。

  • JAたまな(熊本県)・指導販売部 果樹課 係長
    開 泰二さん

苗木の改植に欠かせないアドマイヤー

開さんは20年前のアドマイヤーが発売された当時のことを回想してくださいました。「画期的な殺虫剤だったので良く覚えています。アブラムシをはじめいろんな害虫にとてもよく効き、中でも苗木の防除に最適なので一気に普及しました。今もローテーションの中に組んで使っています」。
害虫防除は春先から始めますが、スリップス(チャノキノアザミウマ)が発生する6月~7月、年によっては8月、9月までアドマイヤーを使用しています。
また、苗木の改植事業にも力を入れているため、苗木栽培の害虫防除にもアドマイヤーが大活躍。苗木の育成を阻害するエカキムシの防除には今も変わらずアドマイヤーが重宝しているそうです。
ちなみに現在、JAたまな管内には、温州みかんの果樹園が約650ha、中晩柑はデコポン、河内晩柑を中心に約100haありますが、毎年30~40haくらいずつ改植を行っています。こうして四季を通じたリレー販売の出荷量のピークを均(なら)し、ベストなバランスで栽培することで、リレー販売をより安定的なものにする努力を重ねています。

マルチを使って 収穫日の調整と、糖度のアップ!

開さんは「この管内の特長の一つが白いマルチを敷く栽培方法です」と語ります。
みかんの熟成は太陽光が決め手です。温州みかんの栽培では白いマルチを地面に敷き、空、そして海、石垣の反射光に次ぐ「第4の太陽」として白マルチの反射光を利用した栽培法でじっくり育てています。これによりみかんの糖度が上がり、甘く芳醇になり、全国から高い評判を得ています。
さらに、みかんの風味は、水やりと地面温度の微妙な調整次第で向上します。梅雨や秋の長雨などの湿潤期にマルチを園地に被覆して水分をやりすぎないことで、収穫を遅くできるそうです。また、地面の温度が上がらないように管理して収穫のタイミングを早めることにも使っています。この方法はグリーンみかんでも同様で、7~8割は白いマルチを張って栽培しています。
マルチを使ったやり方は、最近でこそ各地で見られるようになりましたが、普及させたのはおそらく熊本が全国で一番早かったそうです。果実を早く色づかせたり、糖度を上げたり、収穫を前後にずらすのは、栽培期間が長い玉名市ならではのノウハウといえるでしょう。また、約8か月もの長期間栽培する中で収穫作業が重ならないようにできるため、柑橘農家の方々の労働力の分散にも役立っています。

名産地のブランドを次の世代へ!

JAたまなでは、糖度と酸味を光センサーで検査し、高品質な柑橘ばかりを出荷しています。専用の分析機器を使用し、園地ごとにサンプルとなる果実をJA本部か選果場持ち込み、厳しい合格基準をクリアしたものだけが選別されます。その基準とは、たとえばハウスのデコポンで糖度13度以上、酸が1.0未満というものです。
このような出荷体制を整えることで、柑橘の名産地には次の世代の就農者たちも育っています。天水柑橘生産部会の青年部の若者約40名は同志会を結成し、積極的に栽培法や防除方法の勉強会を開くなど、次世代の柑橘事業は着実に進化しています。
開さんに名産地としてのPRをお尋ねすると、「リレー販売のためにも今後は中晩柑の増産に力を入れています。中でもうちを代表する中晩柑である河内晩柑は、今が旬ですし、ぜひ味わっていただきたいですね」と胸を張りました。

  • 「リレー販売をさらに充実させることに取り組んでいます」と力強く語る開さん。

  • JAたまな・天水地区担当の指導員、吉田知貴さん。「最近は中晩柑の栽培に力を入れています」

 

■若い世代のかんきつ生産者たち

  • 上土井(じょうどい)進さん。
    「柑橘栽培歴20年。アドマイヤーは苗木に夏芽が出る7月からエカキムシ防除で使っています」

  • 内山太輔(だいすけ)さん。
    「柑橘栽培歴8年。Uターンして就農しました。玉名には極早生から中晩柑までどれも美味しいですから、全国の人に食べてほしいです」

  • 柑橘農家の山口智史(ともし)さん。
    「県外の就職先から帰郷して、柑橘栽培歴6年。今後も母の果樹園で温州とデコポンの栽培を頑張っていきます」

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